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作品をピックアップしてご紹介いたします。

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vol.1
vol.2


                                           vol.3
R.ソーントン 『フローラの神殿』 1799〜1807年イギリス

        「フローラの神殿」より

『フローラの神殿』の編者、ロバート・ソーントンはロンドンで薬種商を営む本草家の孫に生まれ個人の力で植物図鑑を刊行を成し遂げた人物である。彼は当時革新的な植物分類学として提唱されたリンネの人為的分類法に関心を持ち、やがてリンネの分類学体系にのっとった大図鑑を刊行した。
このリンネによる『カルロス・フォン・リンネウスのセクシャル・システム新図解』の植物分類学を美術的に解説するというコンセプトにもとづき制作された。当時イギリスで盛んになりつつあったロマンティックな風景画の思潮を取り入れ,前景に描かれた大きな花にその主題と協和する背景が書き込まれている。それぞれの図版は当時できる全ての技法を用い最高、最美の図譜として制作された。点刻銅版にアクアチント、メゾチントを組み合わせ手彩色で仕上げられている。
1枚の図版を作る為にそれぞれの技法に合せて2〜3人の彫版師を必要としたために、この図譜を出版した後、ロバート・ソーントンは経済的な破滅に陥り失意のうちに晩年を過ごし1837年に極貧の中で世を去った。
皮肉なことに現在ではこの図譜は世界で最も美しい植物図鑑として評価されている。

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                                           vol.2
G.L.キュヴィエ 『動物界』 1817年フランス

        「動物界」より


ビュフォン著「一般と個別の博物誌」と並ぶフランスの2大博物学書。優れた著書としてその後も重版された。中でも第3版、通称「門徒版」が有名。トラヴィエ、ウダールなど一流の絵師たちによる精密を極める約1000点の点刻銅版・手彩色図版を含み、フランスの生み出した生物図鑑の最高傑作といわれている。著者のキュビエは、若い頃赴いたノルマンディーで海の生物の研究に没頭する。20代半ばでパリへ移り活躍の場を広げた。比較解剖学教授を経てパリ大学総長を務める。比較解剖による事実のみを重視し分類学を確立。ラマルクの進化論を否定し、天変地異説をたてたことで有名。皇帝ナポレオンにも認められ、当時最も権力を持った学者であった。

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                                           vol.1
P.J.ルドゥーテ  『バラ図譜

        「バラ図譜」より

世界最美として有名なこの『バラ図譜』は、ナポレオンの妃 ジョセフィーヌによってコレクションされたバラが描かれています。ジョセフィーヌは自分の館マルメゾンに庭園を造り、熱狂的にバラを蒐集。バラの改良にも力を入れ当代一流の育種家を集め多数の品種を作り出しました。それらは現代のバラに続くオールドローズの基となっています。
この図譜に収められた170種のうち現存しないものも多く、それらはこの図譜のみにその姿を残しているのです。
「花のラファエロ」と賞賛され「バラの画家」として世界的に有名な作者のルドゥーテ。ベルギーに生まれパリに出て植物画師となった彼は、イギリスで学んだスティップル(点刻)と呼ばれる独特の銅版技法を発展させました。微妙な点の集まりにより色と形を表現するこの技法は、画から輪郭線を一掃し、より繊細で上品な色のグラデーションを可能にしました。バラの花びらや葉の質感、ふくらみが見事に表現されています。
 ルドゥーテの諸作のうち最も名高いこの『バラ図譜』。自らも愛情を込めてバラを育てバラを描きました。その170枚の原画は1871年ルーブル図書室の火災により焼失しています。

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